歩く_草花_想う by tadashian

健康のためノルディックウォーキングに励むシニア、如何にして就業寿命を伸ばすか考える毎日と雑感

地域格差の人類史(9)

こんにちは、そして、こんばんは、ただっしゃん(@tadashian1)です。 当ブログにお立ち寄り頂き、誠にありがとうございます。

 

今回はなぜ、ヨーロッパが世界を支配するに至ったか、その経緯のお話です。

西暦1500年以前までのヨーロッパは、当時の他の地域と比べて、突出して繁栄しているところではありませんでした。

当時の繁栄している帝国といえば、オスマン帝国(トルコ)、サファヴィー朝(イラン)、ムガル帝国(インド)、明・清朝(中国)が挙げられます。これらの国々は、かつてないほどの人口増加と経済成長を遂げていて、特に清とムガル帝国だけを合わせると、当時の世界のGDP、3分の2を占めていたと言われています。

1500年頃以降(アメリカ大陸発見後、先住民には侵略開始)ヨーロッパは急成長を遂げます。1750年頃までに南北アメリカを征服、植民地化していきます。1750年頃から1850年頃までに、いよいよ欧州列強はアジアに進出してアジア諸国を倒していきます。1900年頃には世界のほとんどの国々を支配(植民地化)していきます。

なぜ、ヨーロッパ諸国がこんなこと、出来たのでしょうか?

サピエンス全史著者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏はこのように述べています。

『サピエンス全史』(下)99頁

ヨーロッパ人は、テクノロジー上の著しい優位性を享受する以前でさえ、科学的な方法は資本主義的な方法で考えたり行動していた。そのため、テクノロジーが大きく飛躍し始めたとき、ヨーロッパ人は誰よりもうまくそれを活用することができた。

ヨーロッパの支配者層の偉いところは科学やテクノロジーは将来、自らの支配力に転化されると理解していたのです。だから、科学者を惜しみなく支援したのです。

『サピエンス全史』(下)96頁

ヨーロッパの支配が軍事・産業・科学複合体の魔法のようなテクノロジーを大きな拠り所としてたのは間違いない。近代後期に成功した帝国は例外なく、テクノロジーの刷新を期待して科学的な探求を奨励し、多くの科学者が、帝国の主君のために、兵器、医薬品、機械の開発にほとんどの時間を注ぎ込んだ。

『サピエンス全史』(下)96頁

缶詰食品は兵士の糧に、鉄道や蒸気船は兵士と糧食の輸送手段となったし、さまざまな新薬のおかげで兵士は機関士の病気が治った。こうした兵站上の進歩が、ヨーロッパ勢によるアフリカ征服に機関銃よりも重要な役割を果たした。

王様が科学の発展を奨励、後押し(投資)して行ったのです。

日本はどうなのでしょうか。教育予算は削られ、減り続けています。科学の基礎分野の研究も出来ない状況です。これは私も危惧するところです。

 

1500年くらいまでは、一人あたりに生産量はほぼ一定でした。人口増加や新しい土地の開拓で、世界全体の生産量は増えましたが、一人当たりの生産量は変わりませんでした。

『サピエンス全史』(下)127~128頁には、1500年時点で一人当たりの年間生産量は、今の価格で550ドルだったが、現在は8800ドルまで増加した、とあります。

ユヴァル・ノア・ハラリ氏によるとそれは、クレジット(信用)制度が発展したからだとしています。18世紀までは貨幣は現物としか交換できませんでした。クレジットは将来、利子をつけて返済されることを信用してお金を貸すことです。つまり、起業家が事業を起こせるようになった訳です。

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この流れに拍車をかけたのが18世紀イギリスの経済学者アダム・スミスです。彼の著書「国富論」が、信用(クレジット)を激増させました。彼は「個人が金をたくさん稼げば、国全体も豊かになる」と主張したのです。

これについてハラリ氏はこう述べています。

『サピエンス全史』(下)135頁

実際のところスミスはこう述べているに等しいーーー強欲は善であり、個人が裕福になることは当の本人だけでなく、他の全員のためになる。利己主義はすなわち利他主義である、というわけだ。

商売をして事業が成功して儲かれば、取引のある他の業者さんも儲かります。

『サピエンス全史』(下)137頁

利益は、生産に再投資されるべきなのだ。再投資がさらなる利益を生み出し、その利益がまた生産に再投資されて新たな利益を生む、というようにこの循環は際限なく続いていく。

『サピエンス全史』(下)139頁

資本主義の第一の原則は、経済成長は至高の善である、あるいは、少なくとも至高の善に代わるものであるということだ。なぜなら、正義や自由やさらには幸福まで、すべてが経済成長に左右されるからだ。

新型コロナウイルスパンデミックで強制的にお店を閉じなくてはならない現在の経済悪化、お金が回らなくなっている状況はまさにその通りではないでしょうか。

景気がいいとみんな元気です。景気が悪いと元気をなくします。今は経済を回さなくていけない時なのかもしれません。

 

前々回、スペインはインカ帝国から、金銀等の富を強奪して覇権国家になったお話をしました。

次はその覇権がスペインからオランダに移ります。1648年オランダはスペイン領だったのですが、独立を果たします。

『サピエンス全史』(下)144頁

オランダ人の成功の秘密は、信用だった。・・・オランダ人は強大なスペイン帝国よりもたやすく軍事遠征に資金を調達できた。当時急速に発展していたヨーロッパ金融制度の信頼を勝ち取ったからで、しかもそのころ、スペイン国王はうかつにもその信頼を損ねつつあった。

第一に、彼らは貸付に対して期限内の全額返済を厳守し、貸し手が安心しえ信用供与が行えるようにした。第二に、オランダに司法制度は独立を享受し、個人の権利、なかでも私有財産の権利を保護した。資本は、個人とその財産を守れない専制的な国家からは流出し、法と私有財産を擁護しる国家に流れ込む。

もちろん、現代でもお金貸して返してくれなかったら、二度と貸したくありませんものね。

『サピエンス全史』(下)147頁

このようしてスペイン王は投資家たちの信用を食い潰し、それと同時にオランダ商人たちはかれらの信頼を勝ち得た。そしてオランダ海上帝国を建設したのは、オランダという国家ではなく、オランダの商人たちだった。スペイン王は、不満を募らせる民衆に課した不人気な税を増額することによって財源を確保し、占領地を維持しようとし続けた。

 こうしてオランダの時代が到来したのですが、長くは続きませんでした。その地位をイギリスに奪われることになります。それはどうしてなのでしょうか。自由な貿易を標榜したオランダですが、自由が過ぎて売国商人が現れて、英蘭戦争さなかでも敵国イギリスに武器を売るオランダ商人が多数いたそうです。

この点も現在の日本、大丈夫なんでしょうかね、これも心配です。

このあと、18世紀、覇権をめぐって、イギリスとフランスが争う事になります。当初はフランスが有利と見られていました。なぜフランスが覇権争いで負けたのでしょうか。

ハラリ氏は面白い見解を述べています。

1717年、フランス国王ルイ15世が後押しするミシシッピ会社は、ミシシッピ川下流域の植民地化に成功し、ニューオリンズという都市を建設しはじめた。都市建設の費用を調達するために、ミシシッピ会社株はパリ証券取引所に上場し、ミシシッピ会社は500リーブルで売り出された。これが1719年12月、1万リーブルまで大暴騰した。パリの人々は、ミシシッピ会社株を買うために、全財産を売ったり、多額の借金までするようになった。だれもが「簡単に富豪になれる方法が見つかった」と思った。しかし同月、投資家は「株価は実態を反映していない」と見切りをつけ売り始め、株価は大暴落した。フランス中央銀行ミシシッピ会社株を買い支えたが、資金が尽きた。すると、なんと株を買うために、紙幣を印刷し始めた。それでもミシシッピ会社株の暴落は止まらず、株は紙くずになった。 

この件で、フランスの金融制度とフランス国王ルイ15世の信用がなくなり、資金調達が出来なくなりました。 

一方のイギリスはロンドン証券取引所に上場している株式会社によって大発展していき、大英帝国覇権国家へと昇りつめます。

 

スペインにオランダが勝利し、フランスにイギリスが勝利したことで歴史的な教訓で言えることは、

  • 自由に経済活動ができる国
  • きちんと法が支配している国
  • 私有財産が守られている国

現在に当てはめるなら、アメリカと中国を比較した時、選択肢はおのずと見えてくるのではないでしょうか。

 

個人としての教訓としてユダヤ人である著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏は、「勝ち組、負け組」の違いを、「資本主義の価値体系」と「消費主義の価値体系」と呼んでいます。

『サピエンス全史』(下)181~182頁

利益は浪費されてはならず、生産に再投資すべきであるとする実業家の資本主義の価値体系と消費主義の価値体系の折り合いを、どうすればつけられるか?実に単純な話だ。・・・豊な人々は最新の注意をはらって資産は投資を管理しているのに対し。裕福でない人々は本当は必要のない自動車やテレビを買って借金に陥る。

資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり、二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は、「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ。

ここまで、言ってのけられると、あっぱれ!と叫びたくなります。 

  

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  ブログ読者の皆様が、健康でありますように!最後までお読みいただきありがとうございます。 ・・・心はいつもどまんなか。 by (@tadashian1)